人と動物の関係学 CAIRC奨学金プログラム これまでの論文趣旨
これまでの論文趣旨
犬や猫と触れ合い、愛情を注ぐことが高齢者の健康維持に好影響!
〜高齢者が自立した生活を送るための健康指標を実証〜
研究テーマ「在宅高齢者におけるコンパニオンアニマルの飼育と、手段的日常生活動作能力(IADL)との関連-茨城県里美村における継続研究-」
(独)産業技術総合研究所 知能システム研究部門 知的インタフェース研究グループ
客員研究員 齊藤 具子・主任研究員 柴田 崇徳
 

《調査結果の概要》
来たる超高齢社会のモデルとして調査地域に選ばれたのは、65歳以上の割合が30.0%と高い茨城県北部の里美村。一人暮らしのお年寄が多く、保健・医療・福祉の負担増加など地域社会における諸問題が発生しています。ここで1999年3月、齊藤先生らは65歳以上の高齢者1,345人のうち無作為に抽出した400人に対して、年齢、性別、健康状態、IADL7項目(<1>電話を使うことができる <2>遠い場所までバスやタクシーを利用したり自動車を運転したりして行ける <3>必要な買い物ができる <4>食事の用意ができる <5>必要な家事ができる <6>薬を自分で服用できる <7>自分の貯金や年金を管理できる)および、コンパニオンアニマルに関する項目(飼育歴、飼育動物、飼育年数、過去の飼育歴)について文書で質問をし、寄せられた339の有効回答をもとにIADLとペット飼育の関連をロジスティック回帰分析(ある現象の発生する確率をいくつかの変数で説明する手法)しました。

この調査の結果明らかになったのは、「ペット飼育経験のある人は飼育していない人に比べてIADL障害をもつ割合が小さい傾向にある」ということ。しかし、この調査だけではペットを飼育していることによりIADLが高く維持されているのか、あるいはIADLが高く維持されているためにペットの飼育が可能なのか、因果関係の判断まではつきませんでした。

そこで2003年5月、前回と同じ対象者に同様の調査を行い、4年間のIADLの変化に着目することにしました。また今回はコンパニオンアニマルに関する項目として「接触の具体内容」についてもあわせて尋ねました。

有効回答225人中、現在犬や猫を飼っているのは96人、飼育経験なしが53人。IADLが4年前と比べて維持または改善されている割合をみると、ペットの飼育経験がない高齢者グループが77%だったのに対して、現在飼育中でなおかつ自分で「えさをやる」「なでる」グループでは約90%と、明らかな差が見られました。また、ペットを飼っている人の中でも、「ペットが好きだ」「ペットは私の生活に幸福をもたらしてくれる」「ペットによく話しかける」といった項目に対して「あてはまらない」と答えたグループでは半数近くの人のIADLが低下しており、愛情を注いで飼育しているのかそうではないかでまったく逆の傾向が見られる結果となりました。

齊藤先生は「ただペットとして飼っているのではなく、“コンパニオンアニマル”として愛情をもって接している、そのペットに対する気持ちと触れ合いがIADLの維持・改善に影響していることがわかりました」と分析しています。

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※Letter from CAIRC 2003年12月号より
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