| 高齢者の『自尊心』をコンパニオンアニマルが支える可能性 |
| 研究テーマ:高齢者に対する死別経験およびコンパニオン・アニマルの影響 |
| 愛知県立看護大学 老年看護学 助手 田中 優子(たなかゆうこ) |
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高齢期には、配偶者との死別の経験が多くなります。この死別の経験は、抑うつ感、絶望感、孤立感という否定的な感情を引き起こす原因になると言われています。そこで田中さんは、死別の影響が緩和されるために、コンパニオンアニマルが人の肯定的な感情を高められないだろうかと研究に取り組みました。この研究のテーマは、"コンパニオンアニマルの存在は死別経験による肯定的感情の低下をどの程度カバーできるのだろうか?"と掲げられました。
「調査は65〜74歳の高齢者にアンケートを行い、760票の有効回答をもとに分析しました。
まず、配偶者の死別経験が高齢者の日常生活での肯定的な感情に及ぼす影響を調査したところ、肯定的な感情のうち、『有用感』『はりあい感』『自尊感情』の順で3項目が低下していました。特に、死別時期から3年未満の人の場合では、『有用感』『愛情対象の存在』『貢献感』『生きがい感』の順で4項目が低下していました。
次に、コンパニオンアニマルが高齢者の日常生活での肯定的な感情に及ぼす影響を調査したところ、単にペットを飼っているかどうかだけでは統計学的に有意な影響はみられず、コンパニオンアニマルとの"関係性"が重要であることがわかりました。コンパニオンアニマルと質的に強い関係性がある場合は、『愛情対象の存在』『保護対象の存在』『はりあい感』『自尊感情』『有用感』『生きがい感』の順の6項目で肯定的な影響があることがわかりました。
コンパニオンアニマルとの関係性は、『食事や世話の責任性』『ペットと一緒の部屋で過ごす時間』『ペットに対する情緒的愛着』『ペットとの生活による良い面と大変な面の差』の4側面を調査しましたが、その中でも、特に『ペットと一緒の部屋で過ごす時間』が高齢者の肯定的な感情をより高めていたことがわかりました。
老年看護学では『自尊心』を保つためには、『役に立っている』、『自分には価値がある』と高齢者が感じられることだけではなく、『生きるはりあい』や『生きがい』があること、『何か大切なものを守っている感覚』や、『愛情をお互いに注ぎあえるものがある』と感じられることも大切になると考えています。つまり、高齢者にとってコンパニオンアニマルと一緒の部屋で過ごす時間が多くなることは、こういった高齢者の『自尊心』の維持・向上に最も効果が大きいという結果でした。」
このような結果をふまえ、田中さんは「近年、高齢者施設などで動物介在活動が促進されていますが、単発的・イベント的な動物訪問ではその効果が最大限に発揮されているとは言いがたいのではないでしょうか。施設においても、家庭でコンパニオンアニマルを飼育するのと同様の環境づくりを行うことが、高齢者の日常生活感情をポジティブにしていく重要な要素だと考えます」という提言で発表を締めくくりました。
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