人と動物の関係学 CAIRC奨学金プログラム これまでの論文趣旨
これまでの論文趣旨
イヌが地震の前兆である電磁波を感知して
異常行動を確認することに成功
研究テーマ「動物の未知なる能力の探索〜イヌによる地震予知の可能性の検討〜」
大阪府立大学大学院農学生命科学研究科獣医外科学研究室・博士課程
秋吉秀保

1995年1月17日、阪神・淡路大震災が発生しました。その後の調査によって、神戸市など震源地周辺で飼育されていたイヌやネコが異常行動を示したことが報告されています。秋吉さんは、この異常行動が地震の前兆を感じていたためではないかと考えました。
「このときの地震直前には、イヌやネコばかりでなく鳥類や魚類、昆虫類などの異常行動も報告されています。私たちはこれを地震前に起こる電磁波異常に反応したものではないかと考え、この仮説に基づいてラットやウシガエルの心臓で研究してきました。ラットの場合には電磁波によって血中アドレナリン濃度が減少し、ウシガエルの心臓の場合には心拍数が減少することがわかりました。今回は、これをイヌで試みてみようと考えました。まず研究室で飼育されていたビーグル犬8頭を対象に電磁波照射による行動の変化を観察し、採血して血糖値や白血球数を測定しました。しかし、この実験では有意な差を認めることはできませんでした。この原因にはいくつか考えられました。実験動物としてよく用いられる犬種であるビーグル犬は、人による改良が重ねられて個性による違いを含めて、犬の特性のいくつかを喪失している可能性があります。また、ケージ飼育や採血などのストレスが電磁波のストレスを上回った可能性も否定できません。電磁波の強弱や照射時間なども実際の地震前のパターンに近づけるように工夫する必要があると考えました」

秋吉さんはこれらの諸問題を考慮し、一般の家庭犬と同様な飼育環境の中でトレーニングした犬を用いて、2度目の実験を行いました。
「電磁波を連続波からパルス波に変更し、強度も何段階かに強弱をつけて照射してみました。また、ケージ飼育をやめて研究室内を自由に動くことができるようにし、ストレスがかからないよう採血ではなく尿による検査方法を採用しました。この結果、後肢で体を掻く、前肢を30秒前後かみ続ける、といった普段には観察されない異常な行動が観察されました。尿中のカテコールアミン濃度、ノルアドレナリン濃度などの変化も検出することができました。もちろん、動物には個体差があり、生体反応も一様ではありません。しかし、電磁波などの前兆現象を動物が何らかの方法で感知し、異常行動におよぶことがありうるということは確認できたと思います」
※Letter from CAIRC 2003年7月号より
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