人と動物の関係学 CAIRC奨学金プログラム これまでの論文趣旨
これまでの論文趣旨

問題行動の多くは犬種の性質によるもの
美容師と飼い主の協力の必要性が浮き彫りに!
研究テーマ「犬の美容室内で発生する 問題行動に関する調査研究」
荒川由紀子・北川千代

荒川さんは最年少の22歳で、現在、麻布大学大学院博士課程の学生。共同研究者である北川さんは犬の美容師で、研究スタート当時は麻布大学学生でした。この研究では、全国の犬の美容師にアンケート調査を行う一方、美容室やペットショップを通じて飼い主にもアンケート調査を行いました。美容師向けのアンケートは46%の回収率で506通を調査分析したもの。飼い主への調査は403通の回答を得ています。実際、犬種ごとの行動や犬種本来の性格について調査した研究はほとんどありません。また、問題行動について、現場の声を集めた研究も少なく、まだまだ調査の必要な領域です。荒川さんの研究はその先駆けとして、非常に期待できるものといえるでしょう。

「美容室内の問題行動は、暴れる・噛むなどの攻撃的行動と、おびえる・逃げるなどの逃避的行動に分けて調査しました。まず、全体として美容室を訪れる犬種は124種。専門家の技術が必要な長毛種だけでなく、小型犬から大型犬、短毛種、雑種までがいるので、犬種に応じたさまざまな対応が必要となるわけです。問題行動の傾向として、メスよりオスが多く、年齢的には2〜8才の成犬が多いという結果でした。また、予想では幼犬の場合、逃避的行動が、老犬の場合、攻撃的行動が多いと思われましたが、調査の結果は犬種ごとの差の方が大きく、年齢による変化はありませんでした。

犬種で見ていくと、シーズーが90%と高い割合で問題行動を起こしています。とくに、攻撃的行動は78%と他の犬種に比べて圧倒的に多いようです。もっとも、犬が手入れの中でとくにいやがるのが爪切り、耳掃除、毛玉取りですから、毛玉取りの必要な長毛種は問題行動が多くなりがちともいえます。また、短毛種なのに攻撃的行動が高かったのが柴犬。攻撃的行動は日本犬全般に多く見られました。日本犬は手入れそのものが嫌いで、いやなことは飼い主の言うことも聞かないという傾向があるようです。

美容師や飼い主への調査の結果、美容師は犬の問題行動を飼い主の責任だと考える傾向も出ていますが、問題行動を調査すると、しつけの問題より犬種の性質の方が顕著に表われていることも明らかになりました。その一方、2割もの犬が問題行動を起こしているのに、飼い主は「このままでよい」と考えてもいます。飼い主が「多少のやんちゃもかわいいもの」ととらえているのに対して、美容師側は深刻な問題だと受け取っているのです。飼い主側も問題行動を減らす努力をする必要があるでしょう。つまり、双方の協力のもと、犬種ごとの対応を考えていくことが大切だということがわかったと思います」
※Letter from CAIRC 1999年7月号より
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