| ・本牧・パークシティ本牧 |
| Letter from CAIRC 2001年3月号より |
| 「管理規約に『ペット管理運用規定』が追加されたのは2000年4月。『飼育を考える会』もそれからのスタートですから、まだこれから雛形をつくろうという状態です。飼育者が『ここは堂々とペットが飼えるのよね』と甘えてしまうのではなく、責任を持った飼い主だけがペット飼育を許されていることを意識し、今後もいかに緊張感を保っていくかということが私たちの大きな課題です」というのは、横浜・本牧にある「パークシティ本牧」で「飼育を考える会」の世話役を務める宮島誓子さん。8階建て、12階建ての9棟の建物からなる総戸数666戸の分譲マンションで、会員数は66名、犬約70頭、猫約20頭が登録されています。 「管理規約があいまい規約だったので、それを自分たちなりに解釈して、それぞれペットを飼っていたんですが、当時、まったく苦情がないわけではありませんでした。あいまい規約は、私たち飼育者にとって、非常に足元の危うい状態だということも気になるところでした。そんなことから、6年前、私たち犬の飼い主有志で、飼育者の側から飼育を考える会を作りたい、と自治会や管理組合に申し出ました。すぐに承認されたのではなく紆余曲折がありましたが、ゆっくり積み重ねてきたことがよい結果を生んだのかもしれません。最初は理事会も『正式に飼育が認められれば、ペットの頭数が増えるのでは』と答えを保留していたんですが、そのときは、私たちで犬の増加と何が関係しているのか調査をして、その結果を理事会で発表しました。なぜ犬を飼ったかいろいろ伺ってみると、犬の増加と関係しているのは子供の数の増加だということがわかりました。コミュニティとしてできあがっていくなかで、子供の心を育てる一環として犬を飼い始めた方が多いという調査結果が出たわけです。ちゃんと考えて飼い始めた、ということが伝わり、まず一つ納得してもらいました」(林さよ子さん) とはいえ、ペットが好きな人がいるのと同様、ペット嫌いな人もいるというのはどこのマンションでも同じです。97年に行ったアンケートではペットに対する拒否反応もあったようです。ただ、苦情があがったときに自分たちの権利を主張するのではなく、自分たちの側の責任を考え、飼育者のマナー向上を呼びかける、その繰り返しを徹底したことが功を奏したとも言えそうです。また、ペットの飼い主のコミュニティ作りに寄せる働きかけが周囲から認められたという側面もあるでしょう。一昨年夏、異常乾燥が続いた時期、マンションの植栽の水やりを続けたのは犬の飼い主たちのグループでした。彼らはコミュニティ作りのために、きちんとしたマナーで犬を飼う、きちんとしつける、という姿勢、そして、ペットは家族の一員=コンパニオンアニマルである、という情報を発信し続けたと言います。 「話がうまくかみ合わなかったこともあります。でも、必ず自分たちの方から歩み寄って、解決の糸口を探るようにしました。後ろにペットの存在があるので、我慢をしたという面もありますが、対立してしまっては何の解決もできない。そうやってこちらから働きかけることによって、相手の気持ちもほぐれてくることがわかりました」(大利優子さん) 管理組合では各棟のエントランスに苦情・意見・要望などを記入できる用紙を備え付け、苦情などの処理に当たっています。該当する飼育者には苦情連絡書に記入して手渡したり、該当者不明のときは掲示板に貼りだしたり、状況によって対応は違います。アドバイスを行うだけでなく、専門家に連絡する手配をすることもあります。 現在、「飼育を考える会」の世話役は前出の宮島さん、林さん、大利さん、それに小林明子さんの4名。会長を立てないことも「組織図をつくりたくない」という4人の方の考えによるもの。理事会も「あの4人が納得しないことは飼育者も納得しないだろう」と捉えているようです。 「ありがたかったのは理事長を始め、理事の方々がいろいろペットについて勉強してくださったこと。うちのマンションのペット管理運用規定には頭数制限、大きさ制限がありません。細則を決めるときは考え方の違いでしばらく平行線だったんですが、理事会側から『じゃ、専門家の意見を聞こう』と言って、『集合住宅における動物飼育を考える協議会』に講演を申し込んでくれました。このセミナーが行われてから、非飼育者の方々にも大切なことは頭数や大きさじゃない、ということを理解してもらえるようになりました。『誰にでもわかる細かい細則が必要では?』という意見が出たときも、理事長の方が『ルールというのは絶対的なものではなく、相対的なもの』とおっしゃいましたし、『もめるのはコミュニティとして恥ずかしいことです』と考えていらっしゃる。このマンションをよくしていこうという気持ちがみんなの中にあったから今のかたちになったのだと思います」(小林さん) 住みやすいコミュニティをつくる、ということは住民みんながお互いの立場を理解するという歩み寄りが不可欠です。「飼育者の会」の世話役4名が力を尽くされたこともさることながら、理事会がペットの飼い主の立場をきちんと理解し、会設立のためのサポートを行っていたことも成功につながった大きな理由だったに違いありません。 |